美容整形が受け持つ範囲

美容整形、とおおまかに分類されるが、いわゆる整形外科医院が受け持つ医療行為の範囲はかなり広いものがある。定義としては、人間が生来持っている外面的肉体的形状を、日常的に可視・不可視な部分を問わずに外科的技術を駆使して改造する医療行為全般を指す。その基本的意図は一般的平均的人類の外見的形状から著しく逸脱する奇形の修正治療であり、これには先天的欠落・変形を含む外傷や疾病の治療をその主なものとする。一般的呼称としては美容整形と言うよりも再生医療を目的とした「形成外科」なる呼称が用いられることが多い。無論一般的美容整形外科でも、乳がんで切除した乳房の再建手術に代表されるような「再生外科医療的美容整形」に積極的に取り組んでいる。

美容整形のもう一つの大きな柱として、一般的日常生活に支障は無くとも、客観的あるいは主観的に「審美的欠陥」を有すると思われる部位に対し、積極的に審美的外科的改造を施す治療行為が挙げられる。いわゆる「美容整形」とはこちらを指すことが多い。O脚に代表される骨の変形・湾曲を修正する治療は美容整形・形成外科どちらの分類になるのかは少々微妙な問題である。近年の美容整形クリニックでは、健康的で美しい肉体を実現するために、いわゆる美容整形のみならず、形成外科全般は言うにおよばず、皮膚科、歯科、内科、泌尿器科、整体治療やエステティックなど多分野にまたがる技術を総合的に取り入れているところが増えつつある。

美容整形が患者に与える影響・恩恵は単に外見上のものにとどまらず、むしろ精神的充足感の占める割合が大きいことを指摘する専門家や評論家も多い。顔面の容貌全般にとどまらず、美容整形外科の施術範囲は肉体各部に及び、女性の乳房の増大・縮小や形状の修正、手足や腹部の余剰脂肪除去、セルライトの除去、アトピー性皮膚炎の治療、痣・黒子の除去、体毛の除去、目立たないところでは男女生殖器の外形改造も行われる。「腋臭治療」や「魚の目治療」も美容整形の重要な守備範囲である。近年注目を集めている「審美歯科」「歯列矯正」もその意図を考えれば美容整形に含まれると言ってよかろう。

美容整形の重要な役割の一つとして、性同一性障害患者の治療が挙げられよう。直截的呼称で「性転換」という医療行為は、日本では法律の壁が立ちはだかって完全に自由化されているわけではないが、近年の精神医学からのアプローチの発達と社会的理解の深まりに伴い、徐々に国内で可能な治療範囲も広がりつつある。ここでも「形成外科」分野の再生医療が「美容整形」と連携することで、かなり大掛かりな肉体改造も技術的には可能になっている。

美容整形と日常生活の壁が徐々に取り払われつつある証左として、年々関心の高まりつつある「アンチエイジング」効果を求め、一般的化粧、メイクアップ感覚で美容整形クリニックの門を叩く人が増えていることに注目したい。これは男女を問わず利用者が増加しているようで、その治療も注射一本で完了するような手軽なものから、大掛かりな全身改造手術まで様々である。こうした傾向は、先にも述べた美容整形医療全般のオープン化に伴う「美容整形手術に対する信頼」「安心感」の増大がプラスに作用しているのだろう。